夫のその一言に、私はショックで一瞬息が出来なくなりました。
(え?何?!バカ?!バカって言ったの?!)
確かに私は英語も現地語も出来ません…しかし、夫からそんな風に罵られたのは初めてで…。
完全にフリーズしてしまった私のことなど見向きもせず、相変わらずスマホに視線を落としたままの夫はこう言いました。
「いいからあいかは俺の言う事だけ聞いてればいいの!…夫の言う事がそんなに信用出来ない?!俺の事、信じられないのかよ!」
私は結局、何も言い返すことが出来ませんでした。
そしてそのまま書類や手続きの件は有耶無耶に。
「とりま、飯食いに行こうぜ」
まだ先ほどの夫からの暴言を消化しきれていない私とは違い、どこまでも自己中な夫はまた例のコッテリ重量級飯に行こうと言います。
「…私、お腹空いてないし…和食とかないかな?せめて少しさっぱりしたものが…」
「…あいかってそういうタイプ?そんなに日本食がいいなら一生日本から出なきゃいいじゃん!せっかくこっちにいるのに地元の料理を食べないとか、マジでありえないだろ!」
「わかるけど…でも本当に体調が良くないんだってば。ずっと胸も張ってるし…乳腺炎にでもなったら…」
「は?勘弁してよ…たかだか数日で体調崩すとか…。いくら久々に俺に会えて安心したからって、甘えんなよな!」
…私の訴えは全く聞き届けられることはなく…。
「あーやっぱりウメー!あいかももっと旨いもん食ってさ?俺のために料理の腕磨いてよ!」
再び私は付け合わせの野菜を頬張ることになるのでした。
流石にその夜は夜景ドライブは勘弁してもらい、部屋に戻ったのはいいのですが…
「ちょっと!さっきもしたじゃん?!」
「いいじゃんかよ!減るもんじゃないんだしさ!」
(…このケダモノが!)
こちらの体調など一切考慮しない野獣にのしかかられ、私はまた自分を押し殺しながら、知らない天井を見上げることになったのでした。
睡眠不足と疲れから、その夜は気絶するように眠りにつき、ズキズキする胸の痛みで目覚めた私。
(そろそろ搾乳の時間か…。娘はどうしてるかな…!)
トイレに向かおうとベッドから降りると、少し開いていた扉からチラッと見えた玄関先には、女性の姿が!
(え?!誰?!)
私が立てた物音に気付いた夫は、「おはよー」と呑気に声をかけてきました。
「起こしちゃった?あ、モナ、こっち奥さんのあいか!○※□◇、、、(現地語?)で、あいか、こっちは通訳兼事務のモナちゃん!」
「ハジメマシテ、モナ、デス」
こちらに気付いた彼女はカタコトの日本語で「オハヨウゴザイマス、オクサン」と笑顔で会釈してきました。
目がくりっと大きくて、若い女の子。
一方こちらは、寝起きにスッピン…しかも顔にはここ数日(だけじゃないけど)の疲れがどっと出ていて…
(出来ればこんな時に会いたくなかったなあ!同じ生物として差がありすぎるから!)
別に彼女の方は気にしていないのかもしれませんが、できれば私はちゃんとしている時に会いたかったと、すぐに下を向いてしまいました。
現地語と英語で何やらやりとりをした後、彼女の方は
「バイ、夫サン!バイ、オクサン!I am glad to see you! 」
そう言って帰って行きました。こちらに戻る夫の手には昨日も見た某チェーン店の袋。
(昨日来たのもまさか…!)
これが、後の夫の重婚相手、モナとの出会いでした。
▼目次▼
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コメント
コメント一覧 (4)
日本から出てくんなはほんと💩
サレ妻@あいか
が
しました
ご本人の事なので余計に伝わるものがあります。
サレ妻@あいか
が
しました