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　中村さんご夫妻とは、以前夫に連れられて参加した会社の親睦会でお会いして、何度かやりとりがありました。


（中村さんは日本勤務だけど、同期なんだし、もしかしたら向こうの様子とかを聞いてもらえるかもしれない！）


　そう思った私は、すぐに中村さんの奥様、恵理子さんに連絡することに。


『ご無沙汰しております。伊藤の妻のあいかです』


　恵理子さんはすぐにお返事をくださいました。


『ご無沙汰しております。お元気ですか？赤ちゃんは大きくなりました？伊藤さんがいなくて大変でしょう？いつでも頼ってくださいね』


　すぐに私も返信！


『おかげさまで娘も日々大きく成長しております！嬉しいお言葉ありがとうございます。その夫のことなのですが…』


　私はメッセージを打つ手を止め、一呼吸おいてから続きを打ちました。


『夫は私たちに心配をかけないように、あちらでの事をほとんど話してくれません。…それが逆に不安で…』


　打ちながらも、頭の中はもやもやでいっぱいです。


（不安なのはぶっちゃけ言うと浮気のこと…だけど…こんな良い人な恵理子さんに嘘をつきたくない…だけど…！）


　言葉を選びながら慎重に慎重に…


『そうなんですね。心配をかけたくない気持ちはわかりますが、あいかさんの不安もわかります。中村の指導員だった方も現地に赴任されていたはずですので、私の方からそれとなく様子を聞いてみましょうか？』


（恵理子さん察しが良すぎる！…なら…！）


『ご負担にならない程度で構いませんので、お願いできますでしょうか？…突然の連絡にも関わらず、本当にありがとうございます』


『いえいえ！中村もちょくちょくプライベートで連絡しているようなので、話題が増えて帰って嬉しいと思いますよ！…ではまたご連絡しますね！』


　私の頭の中では、某RPGのテーマが流れていました！


　　エリコ　ガ　ナカマ　二　ナッタ！


　その日から、恵理子さんからの連絡が来るのを首を長くして待っていた私。そしてついに、その日は訪れるのです！


『あいかさん！お待たせしました！中村に聞いてもらったところ…伊藤さんは…』


　私は固唾をのんで、画面をスクロールしました。


『お仕事頑張ってるみたいですよ！現地の方にも受け入れられて、楽しくやってるみたいです！』


（違う違う！そうじゃ…そうじゃない！）


　頭の中で懐メロがリフレインする中、まさかの空振りに頭を抱えると…メッセージにはまだ続きがありました。


『もうすぐ一時帰国されるみたいですし、ご家族でゆっくりできると良いですね！』


（ん？一時帰国？初耳ですけど？？？）


　気を取り直しつつ、恵理子さんにはお礼の返信を。


『そうなんですね！安心しました。ありがとうございます。きっと夜にも飲みに行ったり、楽しんでいる様子が浮かびます』


　浮気疑惑に関する有力な手がかりは得られなかったものの、夫が一時帰国すると言う情報をゲット！


（もしかしたら英語と現地語だらけかもしれないけど…スマホチェックしたら何か出てくるかもしれないし！）


　翻訳機能でもなんでも使って、なんとか解読してやる…！と息巻いていましたが、当時の私にはこう言いたい。


　普通、一時帰国が決まったらまず妻に知らせるものじゃないんですか？

　どうして他人から先にその情報を得ることになったんですか？


　…あなたの夫が、意図的に一時帰国について知らせなかった理由は一体何ですか？と。


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