…一瞬、何を言われたのか理解できませんでした。
(夫は…私と結婚しているよね?一緒に婚姻届も出しに行ったよね?え?!何?!どう言う事?!?!)
パニックになりつつも、
『私たち夫婦は…今でも…離婚はしていないですし…夫が彼女と結婚できるとは思わないんですけど…』
絞り出すようにしてそう答えました。
『ですよね?!私もそう思うんですけど、あまりにも堂々としていらっしゃって…!
他の社員さんもなんか普通に受け入れてて…
私がおかしいのかなって中村に聞いてみたんですけど…』
『いや、それは恵理子さんはおかしくないです!絶対おかしいのはうちの夫の方ですよ!』
『…中村が言うには、彼は特別だからあまり詮索しない方がいいって言うんです。
何が特別なの?って聞いたら、どうも伊藤さんのお父様がうちの社長の恩人らしくて…』
『そうなんですか…義父が…』
驚きつつも、私はなんとなくこれまで欠けていたピースが一つづつ嵌っていくような感覚に囚われていました。
就活必死になっていなかったのは〜♪コネがあったから〜♪
急に希望通りの海外に転属できたのは〜♪コネがあったから〜♪
私が会社に電話するって言っても余裕だったのは〜♪
きっともう口裏合わせ済みだったから〜♪
頭の中で、これまでの夫の不可解な言動が、ミュージカルのように上演されます。
『こんな事を言って…却ってあいかさんを悩ませる結果になるかもしれないから…
お話しするか迷ったんですけど…なんか変だなって…』
『ありがとうございます。お話し聞けて良かったです!』
恵理子さんに何度もお礼を言って、通話終了。
私は気付かないうちに震えていました。
(妻は理解がある…大事なパートナー…旅費半分夫持ち…別の国の人と結婚…)
頭の中ではぐるぐると、恵理子さんによってもたらされた情報が回っています。
しかし、先ほどの夫の様子…。
私の目をまっすぐに見て、「あいかが何を疑っているのかわからない」と言い放った彼。
(どうしよう…どうやって確かめたら良いんだろう…!)
こうして私は、どんどん病んでいきました。
次の日は、私から連絡を取る気にならず…もちろん夫からも連絡はなく…
とうとう夫が現地に戻る日になりました。
『空港まで見送りに行こうか?』と連絡しましたが、
『娘連れてくるのは大変でしょ?俺は大丈夫だから娘をよろしく』という返事が。
一見、良い夫のようですが、また数ヶ月私たちと会えなくなると言うのにこのあっさり具合…。
(やっぱりモナと…?!)
私はどうしていいかわからず、どんどん身動きが取れなくなっていくのです。
一応生活費は貰ったし、私の勝手な思い込みで娘から父親を奪うことはできない…。
(私さえ我慢して慎也を疑わなければ、このまま幸せに暮らせるんじゃ…)
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コメント
コメント一覧 (2)
実質社長より権力ありそうだもん。
サレ妻@あいか
がしました