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 派遣として忙しくも充実した日々を過ごし始めて、だんだん失った命のことや夫の言動を思い出す日が減ってきました。


 そしていよいよ、娘の1歳の誕生日!


 夫も23日で帰国してきました。


 夫は娘に何個もプレゼントを用意し、写真館での撮影、義両親とうちの両親交えての食事会の手配など、率先してやってくれています。


 写真館で撮った写真を朝の情報番組の家族写真コーナーに応募したりこの3日間は私が夢見ていた幸せな家族そのものでした。


 義両親も食事会では珍しくおとなしく、娘にプレゼントを買ってあげてね、と現金まで。


 辛かった日々を乗り越えられた!これからはまた家族3人、また幸せにやっていける!そう確信した3日間。


 そんなわけがなかったのです。


 夫が大人しかったのには、ちゃんとした理由がありました。


『ちょ!あいかさん!これって!!!!』

 

 恵理子さんから突然連絡があったのは、そんな幸福な3日間を過ごした翌週。


『ちょっとこれ見てください!』


 恵理子さんから送られてきたスクショ。そこには


 明らかに新郎新婦として結婚式をあげている夫とモナの姿が写っていました。


『これ!中村のSNSに伊藤さんの友人経由で表示されて!


 現地語だから何を書いてあるか読めないんですけど!でもこれ、


どう見ても夫さんとモナの結婚式ですよね?!』


 なんとリアクションしていいか分からず既読のまま固まっていた私。


『大丈夫ですか?今日は娘さんは?』


 人間、どうしていいか分からないことで固まっている時でも、事実をそのまま伝える、ということは出来るんですね。


『娘は両親と出かけています』


『よかった!お返事があって。今からお会いできませんか?ちょっと一回、整理しましょう!』


 茫然自失のまま、近くのカフェで恵理子さんと会うことに。


「大丈夫ですか?!」


 真っ青な私を見て、恵理子さんの方が泣きそうになっていました。


「今日は私がお休みで疲れてるだろうからって両親が娘をデパートに連れて行ってくれていて


 聞かれてもいないことを話し出す私。


「そうなんですねありがたいですね


 優しく頷いてくれる恵理子さんの声を聞いていると


「どうしてなんでしょう?娘はすごく可愛くて私がいけなかったんですよね


 あっちについていってあっちで産んでいたらそうしたらこんなことにはならなかったんじゃないですかね?


 家族はやっぱり一緒にいるべきだったんじゃ

 

 そしたらきっと【普通の家族】になれていたはずなのに。ねえ?恵理子さん?私がそうしていれば!」


「あいかさん!」


 思ったことをそのまま垂れ流し状態の私。恵理子さんは涙を流しながら


「あいかさんは悪くない!」


 とキッパリ断言してくれました。 

 

 しばらくその場は妙齢の女性2人が向かい合って号泣しているというカオスな状況に。


「ごめんなさい!私が泣いちゃって!」


「そんなこと!ごめんなさい!巻き込んでしまって!」


 泣いて謝りあっているうちに、だんだんと落ち着いてきました。

 

 そして訪れる、気恥ずかしい時間


「大人になってからここまで人前で泣いちゃったの、初めてかもです」


「私もです!絶対店員さん裏で私たちのこと、何があったか噂してますよね!」


「間違いないですね!でもなんかスッキリしました!


 で、夫のことなんですけど、とりあえずまだ私たちは結婚しているので、


 モナとは法的に結婚できないはずなんですけど


「ですよね?!私も少し調べてみたんですけど。勝手に離婚届を出されたりはしていないんですよね?!」


「離婚届を書いた記憶はないです!一応今から役所に行って戸籍を調べてみます!」


「ですね!あと考えられるのは


 恵理子さんが調べてくれた中で、私たちの考えはこうです。


1)夫が勝手に離婚届を提出モナと結婚した

2)現地が一夫多妻制だった(だったとしても日本は重婚を認めていないので法的に無理なはず)

3)現地法で勝手に結婚して日本の大使館に申請していない(法的にアウト)

4)そもそも式をしたただけで事実婚


 1に関しては戸籍を調べればわかることです。


 23に関してはどちらも違法なので、婚姻の取り消し等の対処が必要。


 4だと2人して考えている内に


(あれ?そうまでして夫と結婚している意味、ある?)


 とようやく気付きました。


(そもそも、この結婚式の日付、私が子宮外妊娠で入院していたあたりじゃない?!)


「恵理子さん私、根本的なことに気付いてしまったんですが


 私、離婚してもいいですよね?!どうして現地妻と夫をシェアしていく必要があるんでしょう!」


 恵理子さんは、言葉を選びながら私の考えを肯定してくれます。


先のことを伊藤さんがどう考えているのか分かりませんけど


 2つの家庭を維持していくのって、金銭的にも時間的にもとても負担が多いですよね?


 一夫多妻が認められている国では、きっとそういうところもしっかりルール化してると思うんですけど」


 そんな恵理子さんの言葉にはっと気付かされました。


(もしかして!)


 もし、私の考えが的中しているならば、夫はサイコパスレベルでクソ男の可能性がある衝撃の考えです。


ねえ恵理子さん、もしかして夫は金銭的に2家庭を維持していく事を考えていたから


 私に2人目ができたときにあんな対応だったんでしょうか


 まさか夫は、モナとの間にも子供を持とうとしていた?だから私との間に2人目はいらなかった?!


「それは伊藤さんにしか分からない事だと思いますけど


 もし本当にそうなら、かなりやばくないですか?!そもそも


 私の意見を聞いて、恵理子さんはゆっくり、そしてはっきりと、【この先のこと】についてお話ししてくれました。


「私たちは日本人で、日本のルールと文化で育ってきてますよね?


 きっと娘ちゃんも日本という社会で暮らしていきますよね?


 そんな中で、父親には別に家庭があるって娘ちゃんが将来知ったとしたら


 それはなかなか受け入れるのが難しい問題になるんじゃないですか?


 きっと両親が離婚しているということ以上に」


 恵理子さんの意見は私の胸にまっすぐに刺さりました。


 とにかくまずは戸籍を確認すること。


 そして夫に事実を確認すること。その結果次第で再構築するのか離婚するのか決めよう。


 いよいよ吹っ切れた私のこの時の気持ちとしては、90%くらい離婚寄りでしたが


 まだ、どこか優しい時の夫への未練があったのかもしれません。 


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