
しかし私の提案は、義父母によって一蹴されます。
「ちょっと待ってくれ!いきなり来て何なんだ一体!
…息子の個人情報を、いくら嫁だと言っても簡単に渡すわけないだろう!」
私はそれでも食い下がりました。
「私たち夫婦の問題というなら、私と慎也さんとで裁判でも何でもやりますよ!
…もしお義父さんお義母さんに少しでも孫が可哀想だというお気持ちがあるなら…!
夫のA国での名前、教えてください!お願いします!」
私が頭を下げるくらいでは、義父母の気持ちは全く動かなかったようで…。
「…本人に聞けばいいだろう!俺たちを巻き込むな!」
(まぁ、そんな簡単に教えてもらえるとは思っていなかったけど…)
「では慎也さんの会社の方に問い合わせますね。もちろん重婚の事実とともに。
…社長と懇意になさっているそうですが、流石に社長も犯罪には加担しないんじゃないですか?」
精一杯の脅しのつもりでした。
そっちがその気なら、事を公にしてもいいんだぞと。
しかし義父はそんな私の虚勢など、鼻で笑って吹き飛ばします。
「…ふん…やりたいならやればいいじゃないか。会長も社長も愛人の1人や2人いるだろう。
…問題になどならないよ。俺の影響力をあまり過小評価しない方がいい」
「………!」
「…狂ってる…こんなところに我々は大事な娘を嫁がせてしまったのか…」
頭を抱える父。勝ち誇ったような義父はさらに続けます。
「まあ、いい歳した娘を自立させずに甘やかしているから、こんなことになったんでしょうよ。
息子は独立してやっていけるだけ稼いでいるんだし、あちらの女性のことは人助けだと聞いている。
…立派な夫じゃないか!」
「どこが立派だ!立派な夫が家族をこんな風に追い詰めたりするものか!
…あんたたちは本当に血の通った人間か?!もういい…!とにかくうちの娘とさっさと離婚してくれ!」
「…話を聞いていないのはそちらじゃないか。何度も言うようだが、我々は夫婦間のことには関与しないよ」
「あなた…」
ここで義母が時計を指さしました。どうやらタイムリミットのようです。
「まぁ、生活費は出すと言ってるんだろう?そこを渋るようなら俺からも口添えをしておくよ。
…しばらくは都合のいいATMだとでも思っていればいいじゃないか。
息子は息子なりに家族の事を大事にしているんだろうよ。
…では俺はこれで失礼。会食の予定があるのでね」
会議、終了。
義父はそのまま風のように素早く部屋から退出してしまいました。
呆気にとられる私たち家族に、義母からまたしても爆弾が投下されます。
「あいかちゃん、お気付きだと思うけど、うちもそうなのよ。
…主人には別に家庭があるの。
それでもね…ちゃんと夫として、親としての役目を果たしてくれているわよ?
こういう形の家族もあるってこと、あいかちゃんならわかってくれるわよね?」
(…わかるか!)
義母からの告白を受けて、母は…
「あのね、お義母さん…同じ女性として言わせてくださいね。
…役目を果たしている、そう仰いますけど…お義母さんの心は傷付いてはいないんですか?」
そう、優しく語りかけました。
しかし義母は何を言っているんだとでも言わんばかりの真面目な顔でこう答えたのです。
「そりゃあ、普通の家庭と違うことは理解していますよ。
…でもね?主人のおかげで裕福な生活ができているんですもの。
<そこ>にだけ目を瞑ればいいのよ。
息子も海外での仕事にやり甲斐を感じているみたいだし、お相手も日本に住んであいかちゃんの立場を奪ったりしないと言っているんでしょう?
…いいじゃないの。
あなたは日本で子育てを頑張って、たまに帰ってくる息子を優しく迎え入れてくれれば。
あの子は今の会社の重役コースに乗っているんだもの。この先もきっと稼ぐわよ?
…今離婚したって仕方ないじゃない。息子は家族のことをちゃんと大切にしていくわよ」
その後もペラペラと良く喋る義母を横目に、私たち家族は頭を抱えていました…。
(だめだ、こいつら…)
▼目次▼
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コメント
コメント一覧 (6)
サレ妻@あいか
が
しました
息子夫婦の一大事より大事な予定って何なのさ?😠
サレ妻@あいか
が
しました
って宇宙人義家族に言ってやりたい。
下手に言葉が通じる分外国人と会話する以上に疲れたでしょう。
心労お察しします。
サレ妻@あいか
が
しました