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『慎也がやらかしたこと、生活費が少ないことももちろんそうだけど


 そもそもはモナとあなたの重婚重婚っていうか、浮気?不倫だよね?!


 これについて私たち、一切謝罪されてないよ?


 離婚した証明はもちろんもらうけど、そこをちゃんと納得できる形で収めてもらわないと。


 再構築も何もないと思う』


『わかってるよちゃんとするからちょっとだけ時間が欲しい。


 俺は本当にあいかと娘を失いたくないんだよ!』


(だったら今すぐ土下座でも何でもして詫びろや!)

 

 と私方家族全員が思っていましたが、昨日の今日で宇宙人の相手はもう無理


 とにかく生活費を支払う気になってくれて、モナと別れる気になってくれているなら、しばらく様子を見よう。


『だったらちゃんと誠意を見せて。


 もう一回言うけど、この会話は私の両親も聞いているし、録音もしているからね?


 モナと離婚してその証拠を出すこと、生活費の送金について早急にやり方を考えること。


 そして何より、慎也からちゃんと直接謝罪してほしい。これが最低条件だから』


『わかったよすみませんでした』

 

 謝罪なのか不貞腐れているだけなのか?夫のそんな呟きと共に通話終了。


 私は張り詰めていた糸も通話と同時にプツンと切れたようなそんな感覚に襲われました。


「お疲れ


 母が温かいお茶を差し出してくれます。私は一口すすると


「何でそこまで離婚したくないんだろうね?!だったら最初から重婚なんてしなきゃよかったのに!」


「それはともかくさ、あいかは本当にそれでいいの?!慎也くんがちゃんとしたらよりを戻すって事?!」


言いたくないけどやり直したとしてもあの親にあの子だろう?苦労するのは目に見えてる。


 聞いただろうあの気持ちの入っていない謝罪!


 断固として再構築は認めない、そうお父さんは思ったけど、あいかはどうなんだ?」


 矢継ぎ早に再構築について質問してくる両親。


 私はお茶の入った湯呑みで、冷え切った両手を温めながら、キッパリと言い切りました。


「大丈夫。私もそこまで馬鹿じゃないから、再構築なんて絶対にない!


 でもとりあえず生活費をもらうってことは、将来的に娘の養育費にも繋がると思うし


 それにモナと別れる別れないは正直どうでも良いけど、裁判のことを考えたら慎也の情報は絶対必要だから」


 そして、私の中で何か勘のようなものが働いていたのです。


 おかしい、と。


 私と離婚したくない理由もわかりませんが、あの夫がこんなに素直にモナとの別れを了承するだなんて絶対に裏があるに決まっています。


「とにかく、相手が態度を軟化させたのは事実だし!しばらく様子を見よう。


 その間に正社員の仕事も探したいし、娘の保育園についても考えないと」


 こうして、双方の親まで巻き込んだ家族会議は一旦終了しました。



(今かかっているお金はこれくらいか。そして手当がこれくらい。


 もし慎也が本当に生活費をくれたら独立してやっていけるかな?貯蓄にも回せるかも?


 離婚するとなったら慰謝料は取れるかな?!

 

 少なくとも養育費はこれくらい払ってもらって正社員になれたら保育園費がこれくらいで


 とにかく、このままの生活を続けられない以上、考えることの大半は今後の生活費のことでした。


 私が派遣とはいえ働き出したおかげで、夫の気まぐれなマネハラからは脱しましたが


 それでも娘の将来のことを考えると、貯蓄はあればあるだけいいでしょう。


(いつまでも実家に甘えるわけにもいかないし私がちゃんとしないと!)


 そんな気持ちで、通帳と睨めっこする生活が続いていたある日




 口座の金額が一気に増えていました。 

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