
タタタタターン♪
『もしもし?』
夫はものの1コールで通話に出ました。
『もしもし?今お義母さんから連絡があったんだけど…腕、刺されたんでしょ?大丈夫?』
すると夫が向こう側で舌打ちしている音が聞こえます。
(…やっぱり、刺されたことは私には知られたくなかったんだ…!)
わかりやすい夫の態度に思わずニヤニヤしていると…
『…別に大した怪我じゃないし!』
と虚勢をはる夫に、夫限定でとぉっても優しい私は、とっておきの新情報を披露!
『今さーお義母さんに飛行機のチケット取ったからって連絡が来たんだよね!
…お義母さんと私ですぐに現地に向かうわよって誘われたんだけど、行った方がいいかなあ?』
『はあぁ?!何言ってんのあいつ!…あいかもちろん断っただろ?!
…娘の世話とかあるし、まさか来れないよな?!』
少し焦ったような夫の声…これは行っても良かったのかもしれない…けど…
『いやもちろん行かないよ!
…で?モナに刺されたって聞いたけど、それは本当?あの子は今どうしてるの?』
夫は大きくため息をつくと、早口で捲し立ててきました。
『母さんが何を言ったのか知らないけど、別に刺されたってわけじゃないからね。
…たまたまちょっと口論になって刺さったっていうか…かすっちゃったっていうか…事故だから。
…だからそこまで心配しないで!本当にそう、ただの事故だからさ!大袈裟なんだよなー母さんも!』
(はい、誤魔化しモード入りました〜!)
私は何もわからないふりをしながら、夫を詰めていきます。
『え?でも口論してて、そんな刃物とかが近くにあるってどんな状況なの?』
『それはまあ…そう言うこともあるんだよ!』
『えー?!でも口論の末にモナは刃物を持ち出したんでしょ?!それって危なくない?』
『……!俺に言われても知らねえよ!』
『まあそっちの警察がちゃんと事情を聞いてくれるのかな?』
『はあ?!どうして警察が関係してくるんだよ!事故だって言ってんだろ!』
『…じゃあモナは別に逮捕されたりしてないって事?傷害の現行犯でしょ?刃物まで出してたって言うなら、さつ』
人未遂じゃないの?と続けようとしたのですが、そんな私の言葉を遮るように夫は激怒しながらこう言い放ちました。
『たまたまだって言ってるだろ!不幸な事故だったの!現場にいなかったあいかにはわかんないでしょ!
…とにかく終わったことで俺も大丈夫だから!』
『ふうん?まぁ確かに私には確かめようがないから?夫がそれでいいっていうなら別にいいけど?
…でも、お義母さんはそっちに向かったみたいね?』
『マジかよ…』
『そうそう。だから例のあの書類も一緒に持っていってくれたんじゃないかなあ?
…帰国までにスッキリ出来そうで良かったね!』
『?!』
一瞬にして、通話口の夫がフリーズ!そして慌てて聞き返してきます。
『そうそれ!どういう事?!モナと別れる、あいかと離婚しないって言ってるだろ!
…なんであんなもん送って来るんだよ!』
そう、例のあの書類、とは<記入済み離婚届>と<離婚協議申入書>。
家族会議中に母が提案してくれた、夫にこちらの離婚の意思をわからせるための、第一の計画。
『え?だって私、言ってたでしょ?モナとの離婚が証明できないなら、再構築はできないよって』
『だって…3週間はどうしたんだよ?!まだ時間あるだろ?!
…母さんもびっくりしてたぞ?いきなり内容証明郵便が届いてさぁ!』
『いや、3週間はあくまで期限だから。それまでにない場合、裁判になりますよーってそれだけの話だよ?』
ちなみに、協議離婚申入書というのは、離婚調停の前段階と申しましょうか…。
こちらの離婚したい理由、離婚の条件などを明記しており、これに応じない場合は家庭裁判所に離婚調停を申し立てますよー!といういわば離婚予告書?
…法的拘束力はありませんが、協議離婚の早期解決のために、条件を文面で相手に渡す手段なのです。
『いや、そうかもしれないけど、問題は内容でしょ!何だよこの条件!ふざけてんのか?!』
▼目次▼
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コメント
コメント一覧 (2)
私なら絶対行きたくないけどなるほど、あえて冷やかしに行くというテもアリだったかも(笑)
サレ妻@あいか
が
しました