
『会社は最終的には赴任者に日本に帰ってきて、海外の経験を活かして仕事をしてほしいわけじゃないですか』
『それはそうですよね。だから色々費用を負担しているし、若い人に行かせてるんですもんね?』
『だから、独身の人が現地で結婚して、現地の永住権とか取られたら困るんですよ…!』
(あー…なるほど!)
『永住権があれば、日本の会社より条件の良い現地の会社に転職し放題ですもんね…』
『そうなんですよ。それですでに何人も辞められちゃってるらしくて。
…だからちょっと前から独身者はあまり海外には出して貰えなくなったらしいですよ』
(まさか…)
ここで私、ある可能性に思い至りました。
『もしかして…私と結婚後、子供が出来たばかりなのに夫の海外赴任が急に決まったのって…』
『多分ですけど…伊藤さんはずっと海外に行きたかったんですよね?
…きっと結婚するまでは駄目って会社に言われてたんじゃないですか?
前々からポストが空いた瞬間に飛びつくつもりで、結婚後人事情報に目を光らせていて…って流れなら、なんか説明がつくかなって』
『ですよね…夫はそんな前から計画してたんだ…』
私は呆れるしかありませんでした。
…私との結婚すら、夫にとっては自分勝手な未来絵図のただの序章に過ぎなかったのか、と。
『離婚してもしなくても海外赴任はもう無いんだって伊藤さんが理解してくれればいいんですけどね…』
『ですよね…まだ諦めてないんですよねあの男…』
『もう、モナと再婚してモナを日本に呼んで、また海外で別の女性と重婚すればいいのに!』
恵理子さんの極論でしたが、私は普通にナイスアイデアだと思ってしまいました。
『それいいですねー!もし私と離婚したくない原因が<海外赴任できなくなるから>って言う事なら、会社に海外赴任が原因での離婚ではないって証言するからって言うのはどうでしょう?
また赴任できるようにお願いしてあげるからって言えば、慎也の気も変わるかも?!』
『うーん…本当にそれが理由なら効くかもしれませんけど、本当にそんな理由なんですかねえ?』
『とにかく、もうあとは直接対決しかないかなって。
…ちゃんと目の前で離婚届と、公正証書作成の同意書にサインを貰わないと!』
『もう、帰国便とかわかってるんでしたっけ?』
『それはまだ…でもこれまでのことを考えると…少なくとも帰国の前日までには…
何事もなかったかのように「空港まで迎えにきてよ!」とか連絡してくると思うんですよね』
『そんな図々しいこと…しますか…しますよね伊藤さんなら…』
『するんですよ…間違いなくします…』
悲しいかな、そこだけは自信を持って夫の性格を理解できていました。
『決戦は、来月ですね』
『そうですね。それまでにやれることは…』
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出版を記念してオンラインイベントなども出来るといいなあと漠然と考えておりますがー…
需要はあるのか?!というのと、何をしたら喜んでいただけるのかがわからず😂
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