
『だったらお義父さんにこう言ってみたらどうでしょう?
「一度日本に戻ってゆっくり今後について考えてから再就職させてほしい。
日本に戻るまでは就職先は斡旋しないで」と』
『…でも…あの人は私の意見なんて…!』
(まあ、聞かない可能性も大いにありますよね、あの義父なら)
『じゃあ、こうも言ってみてください。
「慎也くんの意見をちゃんと聞かないまま再就職させちゃったら、
後でやっぱり違うとか色々文句を言われて、却って面倒くさいことになるんじゃないかしら?」
…お義父さんは面倒ごとを何よりも嫌がりますから』
私のこの一言は、義母を充分に納得させるものだったようで…
『そう、そうよね?!言ってみるわ!ありがとうあいかちゃん!また報告するわねっ!じゃ!』
そういって一方的に義母は通話を終了させました。
(義母のトラウマや不安につけ込んで、夫を日本に帰国させようだなんて…)
…自分でやっておいてなんですが、まさに悪魔的所業だと、自分で自分が嫌になります。
(それでも…夫に帰国してもらわないことには事態は何も変わらないし…!)
私たちから…そして離婚から逃げようとしている夫に何を言ってもきっと無駄。
…もしちゃんと向き合うつもりがあるのなら、私からの連絡を無視したりはしないはずです。
なら、再就職のキーマンである義父に動いてもらわない限り、夫と直接対決は実現することはないでしょう。
我ながら義父母を利用するやり方に嫌悪感しかありませんでしたが…。
(…こうするしかない…!)
どうか、義母が上手く言ってくれますように…!
どうか慎也がちゃんと帰国しますように…!
どうか話し合いができますように…!
どうか離婚がちゃんと成立して、娘のために養育費を受け取れますように…!
…もはや神頼みしかないレベルにまで、私は追い詰められていました。
そして数日後…義母からの待望のメール!
…後にも先にも、これほどまでに義母からの連絡を心待ちにしたことはありませんでした。
『あいかちゃん!慎也くんは15日に帰国します!一時帰国だから数日しかいられないみたいだけど…』
『本当ですか?!便名とかわかりますか?!』
『確か、昼頃到着の便だったはずよ』
『そうなんですね!よかった!迎えには行かれるんですか?』
『そうしたいけど、その日は主人がいないの。だからタクシー使いなさいなって言ってあるわ』
『荷物があると大変ですもんねー…』
などと至極どうでもいい会話を織り交ぜながら、夫の帰国情報、ゲット!
便名まで聞いてどうするのかって?そんなの空港まで突撃するに決まっているじゃあありませんか!
娘には会わせたくなかったので、母と留守番。
私、父、そして最強の助っ人こと中村さん、恵理子さん夫妻も召喚!
私を見て逃げようとする可能性もあるので、中村さん夫妻には少し離れた場所で待機してもらい、もしもの事態に備えます。
(絶対に…逃がさない…!)
夫の帰国日、当日。
(離婚届、よーし!同意書、よーっし!気合い、よーーーーっし!)
到着ロビーに、4人の戦士が降り立った!
「わざわざすみません…こんなことにまで巻き込んでしまって…!」
「いえいえ、ここまで来たら最後までお付き合いしますよ!」
「そうですよ!会社のこととかでおかしなこと言い出したら、ちゃんと僕それは違うって言いますから!」
平日だからかそこそこ閑散とした空港ロビーで、私たちは合流。
そして数分後には、夫の乗っているであろう飛行機が到着したとアナウンスされました。
…今か今かと夫の姿が見えるのを待つ私たち。
…本来なら、海外に単身赴任している夫の帰国を心待ちにしてドキドキしているはずなのに、当時の私の心理はさながら指名手配犯の帰国を待ちわびている警察官のようでした。
…夫の姿を探すこと数十分。
その時が、来ました。
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このお話が漫画化and書籍になります!
8/27に分冊版が一挙3話販売開始!
書籍は11/18に第1巻が発売されます!
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▼目次▼
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