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「聞けました!おかしくなかったですか?!自然に出来てました?!」


「出来てましたよ!これでかなり有利になりましたね!」


 想像以上にうまくいったという興奮から、私は叫びました。


「中村さんのおかげですよ!」


「お義母さん、よほど"捨てられる"事にトラウマがあるんですね


 そう、私は義母に酷い事を言ってしまったと思います。


 夫が日本を捨てようとしている。


 それは義母が500万円を渡すから、そしてA国の国籍があるからだと。


 私は嘘と本当を織り交ぜながら、彼女のトラウマを刺激してそう認識させたのです。


「そう。私性格悪いですよねえ。わざわざ傷付ける言い方してましたよね。


 でもきっと私が『どうしてあの500万円を慎也に渡すんですか!』とか


『重国籍なことを黙ってたからこんな事になったんですよ!』とお義母さんを責めても


 きっと頑なに慎也を庇うだけで、何も教えてくれなかったでしょうし


 落ち込む私に、中村さんはキッパリと断言しました。


「お義母さんがあいかさんを信じたのは、他でもない伊藤が適当な嘘をついていたせいでもありますよ。


 自業自得です。気に病むことないですよ!」


「いずれにせよ、これで放っておいてもお義母さんは伊藤さんの邪魔をし出すはずですよ!」


 暗くなりかけた雰囲気を、恵理子さんが明るい声で断ち切ってくれます。


「あのお義母さんのバーサクモードは面倒臭そうだなあ


誰にも止められないでしょうね、きっと」


 場の流れを静観していた父でしたが、ため息と共につぶやいたのは


「これであちらも思い直してくれればいいんだけどな。


 あのドラ息子に金を渡したところでどうせロクでもないことですぐに溶かしてしまうだろうから」


 これには全員一致で「そうだよね」と。


本当に信用を無くしたなあ慎也!)


「じゃあ次は義父ですね」


 作戦は次の展開に。


 私は義父に連絡しました。


もしもし?』


『もしもしお義父さん?今もう、慎也さんと一緒にいますか?』


『いきなり何だ?!あいつはまだ現地にいるんじゃ無いのか?』


とぼけても無駄ですよ。今さっき、私の目の前で彼は離婚届にサインしましたから』


 最初こそシラを切ろうとした義父でしたが、私がすでに夫と会ったことを伝えると、あっさりとこう言い放ちました。


あいつとうとう観念したのか。で?俺に何の用だ?金か?


 言っておくが、俺は加奈江と違って夫婦のことには金も口も出さない主義だからな?』

 

(他のことに口出ししすぎ&金出しすぎたからあんな馬鹿息子に育ったんだと思いますけどね!)


 心の中で突っ込みつつ、私は平静を装ったまま続けます。


『そうなんですか、別に構いませんよ。


 ただ、慎也さんが離婚届にサインしたって事をお義母さんにもお伝えしたんですよねー!』


………!』


 さすがというべきか義父は一瞬にして事態の面倒臭さに気付いたようで、一瞬の沈黙の後に


………で?どうだったんだ?』


 ため息と共に、義母の状態を尋ねてきました。


『錯乱していてまともな状態じゃなかったですよ?そちらにはまだ連絡が行ってないんですか?』


………!』


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