そして夜。

ようやく帰宅できたものの…
当然のように夫からは夫婦生活を求められました。

早く寝たい一心で必死に演技をしてごまかしました。

演技をしながらいわゆる【見知らぬ、天井】を見上げて


私、こんなところで何やってるんだろう


とむなしくなりました。

終わったらさっさと一人で寝てしまった夫を見ながら…

最後に電話してからもう何時間たっただろう


娘は泣いてないかな、
いや絶対泣いてるだろうな…ごめん…ごめんね…!

またカチカチに張ってきた胸の痛みと罪悪感を抱えながら、その日は眠りにつきました。

次の日、目が覚めると扉の開く音と夫の声。
現地語?のようで何を話しているかはわかりませんでした。

私に気付くと、

「おはよーよく眠れた?時差ぼけ大丈夫?


今同僚がなんか朝食持ってきてくれたから、食べよう」

がさがさと紙袋から某有名チェーン店のコーヒーとパンが出てきました。

軽く朝食をとると、

「じゃあ、でかけよっか」

と外出することに。昨日の失敗を踏まえて、夫に聞きました。

「今日はどこに行くの?銀行?大使館?何をもっていったらいいかな?」

すると夫は少しむっとしたような表情で、

「そういうのいいから。あいかは黙ってついてきてくれればいいから。」

と一蹴。
それで気が利かない女だとか暴言吐いたの誰だよ
朝からイラっとしましたが、何とか耐えて車に乗りました。

そういって何か所か連れていかれたのは、いわゆる観光名所&夫が好きな寺院など…。

「ここ、いいでしょ!何回見ても圧倒されるわー♡俺もこーゆーの建てて後世に残したい!」

「あいかにも見せたくて♡」


と子供のようにはしゃぐ夫の姿を見て、


ああ、ただ夫が来たかっただけなんだなぁ…

とぼんやり思いました。

勿論私だって観光名所が嫌いなわけではありません。


建造物は好きだし、せっかく来たんだからここは見ておかないと!


という夫のもてなしたい気持ちもわからないわけでもありません。

ですが

<私がいないと手続きできない書類>とか
<本人確認が必要な銀行>はどうしたのか

そうこうしているうちに時間は経っていきます。

「ねぇ、観光もいいけど、手続きの時間大丈夫?!私もう明日の夕方には帰国するんだよ?!」

「あとでいいよぉー!」
「まだやってるから大丈夫!」


挙句の果てに…

「そんな気持ちで観光するなんて俺にも名所にも失礼だと思わないの?!」

とブチ切れをかましてくる始末…

『…ちょっと何言ってるかわかんない…』

サンド富澤さん顔で突っ込むしかないサレ妻でした。